LinuCレベル3 304試験の例題と解説

330.6 クラウド管理ツール

今回はLinuC304試験の試験範囲から、「330.6 クラウド管理ツール」についての例題を解いてみます。

■トピックの概要
このトピックの内容は以下の通りです。

<330.6 クラウド管理ツール>
重要度 2

<説明>
一般的なクラウド管理ツールの基本機能の知識。

<主要な知識範囲>
・OpenStack と CloudStackの基本機能の知識
・Eucalyptus と OpenNebulaの認知

<重要なファイル、用語、ユーティリティ>
・OpenStack
・CloudStack
・Eucalyptus
・OpenNebula

■例題
OpensStackコンポーネントの中で、ネットワークサービスを提供するコンポーネントを選択してください。

1. Glance
2. Keystone
3. Nova
4. Neutron

※この例題は実際のLinuC試験問題とは異なります。


解答と解説

答えは「4. Neutron」です。

OpenStackはクラウド環境を構築するためのソフトウェアの集まりです。
OpenStackを構成するためのコンポーネントは多数存在します。
主なコンポーネントと概要は以下の通りです。

* Keystone
KeyStoneはIdentityサービスとも呼ばれます。
主な機能としては、OpenStack全体のユーザ管理や認証や、APIのトークンの管理などです。
管理対象は、OpenStackを操作する人間だけでなく、OpenStackを構成するコンポーネントにも及びます。つまり人間の操作権限だけでなく、コンポーネント間の通信においても、包括的にサービスを提供します。

* Glance
GlanceはImageサービスとも呼ばれます。
主な機能は、OpenStack上で動作するゲストOS(インスタンス)を起動するためのディスクイメージの管理です。Glanceはイメージの名前や配置場所、アーキテクチャ情報などのメタ情報を管理します。
Glanceには、実際のディスクイメージを保管する役割はありません。ディスクイメージは、後述するCinderなどで管理されるストレージに保管されます。

* Cinder
CinderはBlock Storageサービスとも呼ばれます。
主な機能は、インスタンスが使用するストレージや、Glanceが管理するイメージの配置場所になるストレージの管理です。OpenStackのインスタンスは、起動時に一定サイズのディスクが割り当てられますが、ブロックストレージを利用しない場合、インスタンス停止時にディスクも削除されます。ブロックストレージは、永続化したいデータを保存する領域として利用されます。

* Nova
NovaはComputeサービスとも呼ばれます。
主な機能は、インスタンスの管理です。インスタンスの起動や停止などの管理です。Novaは、Glanceで管理されているディスクイメージを使い、KVMなどの仮想化ソフトウェアと連携してインスタンスを起動します。

* Neutron
NeutronはNetworkingサービスとも呼ばれます。
主な機能は、物理ネットワークへのアクセスや、OpenStack内の仮想ネットワークの管理です。Neutronの機能を使って、OpenStack内の仮想ネットワークと外部ネットワークを接続することや、仮想ネットワーク間をつなぐルータを作成することなどができるようになっています。

* horizon
horizonはDashboardとも呼ばれます。
主な機能は、OpenStackを管理するためのWebインタフェースの提供です。
horizonのインタフェースから、OpenStack内部のプロジェクトの管理やインスタンスの管理を行なうことができます。

OpenStackを管理・運用するためには、それぞれのコンポーネントがどんな機能を持っているのか理解しておく必要があります。また上記の他にも、OpenStackには様々なコンポーネントがあります。
コンポーネントを増やすことで、新たな機能を追加できるというのがOpenStackの良い点でもあります。

様々なコンポーネントを実際に利用して、理解を深めてみてはいかがでしょうか?

■例題作成者
株式会社デージーネット ソリューション開発部    森 彰吾 氏

ページトップへ