LinuCレベル3 304試験の例題と解説

334.1 高可用性の概念と理論

今回は304試験の試験範囲から「334.1 高可用性の概念と理論」についての例題を解いてみます。

■トピックの概要
このトピックの内容は以下の通りです。

<334.1 高可用性の概念と理論>
重要度 5

<説明>
高可用クラスタのプロパティと設計アプローチの理解

<主要な知識範囲>
・最も重要なクラスタアーキテクチャの理解
・復旧とクラスタ再編成メカニズムの理解
・指定目的のための適切なクラスタアーキテクチャの設計
・高可用性のアプリケーション視点
・高可用性の操作上の考察

<重要なファイル、用語、ユーティリティ>
・アクティブ/パッシブクラスタ、アクティブ/アクティブクラスタ
・フェイルオーバークラスタ、ロードバランスクラスタ
・シェアード・ナッシングクラスタ、シェアード・ディスククラスタ
・クラスタリソース
・クラスタサービス
・クオーラム
・フェンシング
・スプリットブレイン
・冗長性
・平均故障間隔 (MTBF)
・平均復旧時間 (MTTR)
・サービス品質保証 (SLA)
・ディザスタリカバリ
・レプリケーション
・セッション処理

■例題
クラスタノード間で共有ディスクなどを持たない構成として正しい用語を選びなさい。

1. アクティブ/アクティブクラスタ
2. フェイルオーバークラスタ
3. シェアード・ナッシングクラスタ
4. シェアード・ディスククラスタ

※この例題は実際のLinuC試験とは異なります。


解答と解説

答えは3. シェアード・ナッシングクラスタ です。

可用性を高めるためのクラスタ構成は、その目的に応じて様々な構成方法があります。

アクティブ/アクティブクラスタは、クラスタを構成するノードがすべてアクティブに処理が行える構成方法です。可用性を確保しつつ、ノードのリソースを無駄にせず性能性能を向上させられるメリットがありますが、処理の競合が発生する可能性が高くなるデータベースなどでは構成が難しくなります。
アクティブ/アクティブが難しいデータベースなどの場合、特定のノードのみが更新処理を行い、その他のノードは複製(レプリカ)として読み取り専用で動作するアクティブ/パッシブクラスタの方が構成や運用管理が容易です。更新が少なく、読み取りが多いデータベースに適したクラスタ構成です。

フェイルオーバークラスタは、ノード障害が発生した際に、処理を他のノードに引き継ぐ処理(フェールオーバー)を行う構成です。データベースサーバーや認証サーバーなど、高可用性が要求されるサービスで採用されることが多い構成です。
主に負荷分散処理を目的としたロードバランスクラスタでは、ノード障害が発生するとその分だけ処理性能が低下することになります。

シェアード・ナッシングクラスタは、ノード間でのデータ共有のために共有ディスクやファイル共有などの共有ストレージを持たない構成です。データを共有する必要がある場合には、DRBDなどを利用して各ノードが持つストレージの内容を複製として同期する仕組みを利用します。共有ストレージが単一障害点(SPOF)にならないメリットがありますが、DRBDなどの仕組みの構成や管理、障害からの復帰などが難しくなるというデメリットもあります。
逆に共有ストレージを利用するシェアード・ディスククラスタは構成が容易になりますが、共有ストレージが単一障害点になるデメリットがあります。

■例題作成者
株式会社びぎねっと 代表取締役社長 宮原徹氏

※上記の解説とその内容については、例題作成者の監修です。

ページトップへ